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​即興性に富んだデザインが特徴的なキルトで世界的に知られているアラバマ州のブラックベルト地帯、ジーズ・ベンド。

そこではキルティングのワーク・ソング的意味合いを持つものとして、黒人霊歌が極めて原始的な形式を留めたまま静かに歌い継がれてきた。

本作は約3年にわたる現地でのフィールドレコーディングでジーズ・ベンドの音楽の現在を記録したドキュメントである。

​Trailer

About Gee's Bend

 アラバマ州南西部のブラックベルト地帯に位置する小さな町、ボイキン。アラバマ川に三方を囲まれているこの町は元々「ジーズ・ベンド」(Gee's Bend)と呼ばれていた。アクセス手段も限られており、アラバマ州最大の都市バーミンガムから車で3時間ほど南下するか、川を隔てて対岸に位置するキャムデンという町からフェリーに乗るかのどちらかだ。アラバマ川の恩恵を受けた肥沃な大地は植生豊かで、スパニッシュモスの揺れる木々からはスワンプの様な独特な匂いを感じ取ることが出来る。

 ジーズ・ベンドが世界的に知られることになったのは2002年、この地域の住民によって織られたキルトがヒューストンのミュージアム・オブ・ファイン・アーツで展示され一躍人気を博してからである。その即興性に富んだモダン・アートを思わせるデザインは高く評価され、その後も次々と全米の美術館で展示が行われた。2005年には現地の現役キルトメーカー50人が「ジーズ・ベンド・キルターズ・コレクティヴ」を立ち上げ、キルトの制作や販売のマネジメントを本格的にスタート。2015年以降は各地でキルティングのワークショップも開催するなど、積極的な活動を続けている。

 そんなジーズ・ベンドのキルティングのアカンパニメントとして静かに受け継がれてきたのが、キルトメーカー達の音楽である。ジーズ・ベンドのキルトメーカー達はキルティングの際に必ずと言って良いほどスピリチュアルを歌う。そこから何らかのインスピレーションを得て、それを即興的にキルティングへと昇華していくのだという。いわば彼女達の音楽はキルティングの際のワーク・ソングとして機能している。この伝統はジーズ・ベンドでキルトが織られるようになった19世紀半ばからひっそりと口承で伝承されてきた。古い世代がスピリチュアルを歌いながらキルトを織るその光景を、幼少期から見てきた新しい世代が覚えて受け継いでいく。ジーズ・ベンドでは、キルティングと音楽は切り離すことの出来ない密接な関係を築いてきたのである。

Comments

"キルト。音楽。

多くのことがつながっている。

手触り、ハーモニー、リズム、彩り、コントラスト、緊張感、解放、メロディ、回想、記憶、インプロヴィゼーション、練習、辛抱強さ。

ここには多くの教えが込められている。

すべてが音楽のなかにある。

すべてがキルトのなかにある。"

​- ビル・フリゼール  

"本作は、教会での歌とキルティングに見られる彼女達のコミュニティでの豊かな、スピリチュアルな人生についての真摯なドキュメントである。"

- リヴィング・ブルーズ・マガジン (US)

"4人のキルトメーカーによる素朴な、不思議な程に相互作用を持つ力強い歌声は奇跡的ですらあり、その献身的な歌唱は聴く者の魂に貴重な体験をもたらすのである。素晴らしい歌声、素晴らしいインスピレーションだ。"

- フォーク・ラジオ (UK)

"もし教会に行く時間が無いのなら、本作を聴くのがベストだ。"

- エルモア・マガジン (US)

Info

Boykin, Alabama - Sacred Spirituals of G

アーティスト:ジーズ・ベンド・キルターズ

タイトル:ボイキン・アラバマ:ジーズ・ベンドの黒人霊歌

発売日:2019年7月21日(日)

定価:¥2,500 + tax (12P日本語解説ブックレット付)

発売元:ドルセオラ・レコーディングス

販売元:株式会社メタ カンパニー

ライナーノーツ:ビル・フリゼール

解説:鳥越弾 (ドルセオラ・レコーディングス)

日本語訳:浅羽麗

収録曲:

  1. Soundcheck (0:27)

  2. Give Me My Flowers (3:10)

  3. Swing Low, Sweet Chariot (3:22)

  4. Sit At Jesus’ Feet (3:31)

  5. Remember (2:41)

  6. Amazing Grace (2:14)

  7. Said I Wouldn’t Gonna Tell Nobody (2:11)

  8. Jesus Lifted Me (3:34)

  9. Steal Away (4:12)

  10. Satisfy With Jesus (5:38)

  11. Hallelujah (3:09)

  12. Shine On Me (2:30)

  13. This Little Light Of Mine (3:34)

  14. I’ll Go (2:49)

  15. Do Lord Remember Me (3:03)

  16. Last Miles (3:27)

  17. Moving By The Power (3:50)

  18. Sit Down Servant (3:20)

  19. Old Landmarks (3:06)

  20. Fix Me Jesus (3:30)

*All songs are traditional. 

About Dolceola Recordings

​2010年にThe Danny Smith Projectの自主レーベルとして設立。

2015年以降はアナログ・フィールドレコーディングによる米国伝統音楽のアーカイヴに力を入れ、これまでにDuwayne Burnside、David Kimbrough Jr.、Clyde Davenport、Lee Sexton、RL Boyce、Betty Smith、Jimmy Duck Holmes、Pat Thomas、Clifton Hicks、John Haywood、Jack Bunch、Sharde Thomasなど数多くの伝説的なミュージシャンを録音している。かつてアラン・ローマックスがフィールドレコーディングで愛用したAmpex 601とRCA 77DXを使用し、コミュニティに根ざしたトラディショナル・ミュージックの現在をドキュメントし続けている。

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